育毛剤メーカーの逃げ道?薬事法について知ろう

最終更新日 2024年4月29日

前回「育毛剤は薬ではない? 育毛剤メーカーの巧妙な言い訳」と言う記事で、管理人と育毛剤メーカーのお客様相談窓口とのやり取りを説明しました。

その時の対応の中に「薬ではないので〜」とか「医薬品とはちがうので〜」と言う、巧妙な言い訳があったことに、管理人は腹が立ったのです。ここに出てくる言い訳のもとになっているのが、「薬事法」です。

薬事法の規定によって、効果のないことを責められないし、責任を取らなくても良いようになっているのです。

そこで、薬事法と言うことを少し知っておくと、広告ページを見た時に「ああ、この表現は逃げだな」とか、「本当は効果が薄いんじゃないの?」などと言うことを読み取れます。

管理人もそうだったのですが、「もしかしたらこれで毛が生えるかも知れない」などと思うと、すべての表現を自分に都合よく解釈しがちです。

そうならないように、薬事法ということとその周辺のことについて、基本的な知識を身に着けていきましょう。

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薬事法の目的とはどんなことなのだろう

薬事法の目的とは「この法律は、医薬品、医薬部外品、化商品及び医療用器具の品質、有効性及び安全性の確保のために必要な規制を行うとともに、医療上特にその必要性が高い薬品及び医療用器具の研究開発促進のために必要な措置を講ずることにより、保健衛生の向上を図ることを目的とする」と言う、あまり意味の分からない言葉で説明されています。

要するに端的に目的を解釈すると、「医薬品、医薬部外品、化粧品、医療用器具を主な対象として、人体への安全性と有効性を確保するための決まり事ですよ」と言う感じでしょう。

では、医薬品、医薬部外品、それぞれの具体的な例や定義について、見ていきましょう。なおここでは、化粧品、医療用器具についてのことは省きます。

医薬品とは

医薬品とは一言でいってしまうと、厚生労働大臣により製造販売を承認された薬のことです。配合されている有効成分の安全性と有効性が認められていて、病気の予防や治療に使用される薬のことを言います。

病院で医師が処方箋を書いてくれて、薬局で薬剤師が調合してくれるものから、店頭販売されている頭痛薬や風邪薬まで、医薬品の範囲は幅広くあります。

なお、動物病院でペットの予防接種や病気治療に使われている薬の中にも、医薬品が含まれています。

定義としては「日本薬局方に収められているもので、人または動物の疾病の診断、治療または予防に使用されるものであり器具器械ではないもの(歯科材料、医療用器具及び衛生用品を含む)、人または動物の体の構造または機能に影響を及ぼすことが目的で作られているもの」となっています。

要するに器具器械、薬品の性能が、人や動物の生体機能や構造に影響するものと言うことになります。

医薬部外品とは

医薬品ではなく医薬品に準ずるもので、有効成分は配合されているが積極的に病気や怪我を治すものではなく、予防に重点を置いたものです。しかも、その効果は誰にでも効くというものではなく、効果には個人差があり、効果が期待できると言う範囲のものです。

とうわけで、ラベルには効能を、医薬品のように明確には記すことはできません。逆に言うと、ここが逃げ道にもなっています。なにしろ、効能を明記できないと言うきまりがあるのからです。

ただし、表示指定成分として、皮膚障害などアレルギーの症状を誘発するものは、明確に表示が義務付けられています。

定義としては、「人体に対する作用が緩和なものであり、器具器械でないもの及びこれに準ずるもので厚生労働大臣の指定するものを言う」となっています。

この定義に主に該当する製品として、制汗スプレー、薬用クリーム、薬用化粧品、薬用石鹸、薬用歯磨き剤、染毛剤、育毛剤、ベビーパウダーなどが代表的なものとしてあげられています。

なぜ薬事法が逃げ道になるのか

では、なぜ薬事法が育毛剤メーカーの逃げ道になるのか、と言うことを考えていきましょう。

理由はいくつかあります。もちろん効果が認められなかった育毛剤に対する、管理人の腹立ちまぎれと言う部分もあります。しかし、取りようによっては、逃げ道になっていることは事実です。

効果が薄いとかなくても問題にはならない

医薬品の承認を得るためには厳密な規定があって、それをクリアーしない限り医薬品と名乗ることはできません。

その中には当然のように「効き目」も入っています。これは、製品のラベルにも明記されていますから、もし効き目がなければ逃れられないわけです。

しかし、薬事法によって効き目を明記できない医薬部外品は、例え効き目が薄かったり、最悪の場合効き目がなくても、問題になることはありません。

開発費が安くても製品化できる

医薬品のように、長期間の研究と、多額の開発費用が掛かることはありません。医薬品の場合は、厳格な臨床試験を経由しないと承認を受けられませんが、医薬部外品の場合は比較的簡単に承認を受けられます。

つまり、開発費が医薬品ほどかからないため、あまり効き目のない成分を使うこともできるし、効き目のある成分を少量使って効果があるように見せることも可能なのです。

全部の育毛剤がこんなことをやっているかどうかは分かりませんが、医薬品との境界線はある程度ハッキリしているため、こんなことも可能になります。

つまり、人畜無害であればいいし、使っている成分にウソがなければいいということかなと思えます。

なんとなく、効果の薄い物でも製品化できてしまいそうに感じてしまうのは、管理人だけでしょうか。

薬事法に抵触しないコマーシャル

医薬部外品は、ちょっとした言い方で薬事法に抵触します。このため、メーカーと広告代理店は知恵を絞り、薬事法に抵触しない言い回しをしたCMを展開します。

これは、ネット通販の場合でもまったく変わることはありません。いくつか代表的なフレーズをあげてみます。

毛が生えるなどとは絶対に言わない

育毛剤の効果としての言い方でよくあるのは、「育毛を促進します」などと言うフレーズがあります。他にも「○○と言う育毛成分が……」などと言うフレーズもあります。

これが医薬品だと「毛が生えてきます」と言えるのですが、薬事法の規定で言えないため、このようなフレーズになります。

しかし、ほんとに育毛促進の効果があるのかどうかは、別の問題だと考えてください

何に期待できるのか言っていない

これもよくあるフレーズなのですが、「いま、最も期待できる育毛剤」などがあります。しかし、何に期待が持てるのか、どの程度の期待が持てるのか、などと言うことには触れていません。

髪の毛を生やしたい人は、この「いま、最も期待できる育剤」と言うことを、髪の毛が生えると言うことに直結して考えます。

そして、このフレーズのあとには育毛に効果のある成分の紹介と、その効能が羅列してあるだけなので、果たして本当に効果があるのかどうかは不明なままです。

髪の毛が生えないと言っている

たまに「育毛剤は髪の毛を育てるもの」、などと言うフレーズを使っている製品もあります。

育てると言うことは、今ある髪の毛を育てることで、新たに髪の毛を生やすことではないのです。それを、堂々と言っているのはどんなものかと思います。

その後の説明でも、髪の毛が生えると言うことは言っていません。これは、薬事法の規定で言ってはいけないのですが、ある意味では効果のない事への隠れ蓑になります。

メディアへの露出は金を払えばできる

よくあるフレーズで「多くのメディアで特集されています」と言うものがあります。確かに、メディアには出ていますけれど、メディアに出るための方法として「ペイドパブリシティー」と言うことがあります。

お金を払って雑誌のページや、その他のメディアの時間枠を買い、あたかも取材を受けたような形で登場します。つまり、お金があって、成分に嘘のない製品だったら、こんなことも可能なのです。

まとめ

育毛剤の全てが、効き目のない製品だとは言いませんが、薬事法で効き目を言ってはいけないと言うことがあるため、言えないことが多すぎてこんな感じになるため、これを逆手に取っていないとも限りません。もちろん、管理人が知らないだけで、中には効果的な育毛剤もあるかも知れません。

しかし、AGA治療をしようとしてクリニックにいけば、こんなことに悩む必要はありません。医師の判断で処方してもらえる薬は、効果が薄ければそれなりに増量してくれたりなど、いろいろ手を打ってくれるからです。