後遺障害の等級が決まる流れと異議があるときの対応

最終更新日 2024年3月28日

後遺障害は交通事故で怪我を負い、治療をしてもなお症状が残ってしまう事を言います。

症状が残ってしまうということでは、例えば脳梗塞などに起きる後遺症と同じ扱いを受けることがありますが、後遺症に含まれることはあっても、全く同じではありません。

後遺障害の場合には、治療をしても良くもならないし、悪くもならない状態、いわゆる症状固定に至った後、労働能力が失われたという場合に使われるものです。

労働能力に言及しているのは、交通事故では被害者が加害者に対して損害賠償請求をするために、その基準となる物が必要になるからです。

症状固定前にかかった治療費や休業損害費は傷害部分として、そして症状固定後の労働能力損失による逸失利益などは後遺障害部分として分けて請求されることになります。

ただ、どの程度の後遺症が残っているのかは、人によって異なります。

その程度を16等級142項目に分類して、正確に評価していくのが等級です。

具体的にどのような後遺障害があれば認定されるのかというと、最も重い第1級の場合には、次の6つの項目(ここでは~号と呼ぶ)があります。

1号は「両眼が失明したもの」、2号は「咀嚼及び言語の機能を廃したもの、3号は「両上肢を肘関節以上で失ったもの」、4号は「両上肢の用を全廃したもの」、5号は「両下肢をひざ関節以上で失ったもの」、6号は「両下肢の用を全廃したもの」ということになります。

もしも両手をひじ関節以上失った人がいれば第1級3号ということで、それに応じた賠償金が支払われるのです。

ただ、自賠責保険の補償限度額は第1級で3000万円というように等級が上がればそれだけ保証限度額も上がります。

そうなれば、保険会社としても大きな出費となりますから、なかなか認定をしてくれないこともあるのです。

そうなれば、裁判で争うことになってしまいます。

■等級の認定はどのように行われるのか?

では、等級の認定はどのように行われるのかというと、主に2つの方法がります。

一つは被害者が直接認定を求める方法です。

症状が固定されたら、医師に後遺障害診断書を書いてもらいます。

そしてそれを保険会社に送り、更に保険会社は損害保険料算出機構に回され、調査が行われます。

調査結果は保険会社に通知され、最終的に被害者に認定結果が告げられるのです。

もうひとつは事前認定といって加害者が加入している保険会社が手続きをする方法です。

被害者が書類を用意する必要はないので手間はかかりません。

しかし、保険会社から十分な説明をしてもらえないことも多く、また治療を早く切り上げるように急かされることもあります。

認定は被害者が請求している場合と同様に損害保険料算出機構が行うのですが、被害者が全く関わっていないことで書類に漏れがあったり、正確に記載していないこともよくあります。

その結果、「非該当」というように認定されることができずに、後で揉めることも少なくありません。

認定結果について、不満があるときには異議申し立てをして、再調査をするよう求めることができます。

異議申し立てもまた被害者請求と事前認定の2種類があり、被害者請求は加害者の自賠責保険会社、事前認定は加害者の任意保険会社に申請をします。

しかしながら、異議申し立てをしても、よほど決め手となる新しい証拠を提出しない限り、申し立てが認められることはありません。

一般的に異議申し立てが通るのは5%程度とされています。

異議申し立ては自賠責保険の時効が切れていなければ何度でも申し立てが出来ますが、証拠に基づいた認定ですから、結果が変わる可能性は低いです。

では、どうすれば決まった等級はもう変わらないのかというと、最後に残された裁判という方法があります。

弁護士を雇い裁判で争うときには、自賠責での認定結果とは別の判断が出るので、非該当が認定されたり、等級が上がる確率が高まります。

後遺障害等級認定の流れ